ステップ3-7 天井の各部仕様の確認(5)クリアランスの確保
〈確認内容〉
ステップ2で収集した資料に基づき、以下の内容を確認する。
壁際:天井面と壁との間に、クリアランス(隙間)が設けられていることを確認する(表3-7(1))。
段差・折れ曲がり:吊り長さが異なる天井部分が隣接する場合、クリアランスが設けられていることを確認する〈表3-7(2)〉。(ステップ3-2参照)
設備等周り:天井面と一体に動かない設備等の周囲には、クリアランスが設けられていることを確認する(表3-7(3))。
〈解説〉
・天井落下被害の中でも、壁際の天井材落下は典型的な被害である。天井と壁との衝突を防止するために天井を壁から6cm 以上離す。
・天井の段差や折れ曲がりでは、吊り長さが異なる部分や野縁受けが連続していない部分が隣接することがある。
この場合は地震時に異なる動き方をすることで局所的に応力が大きくなり破壊等を生じやすいため、12cm 注1)以上離す。
・天井から吊られたバスケットゴール(以下「吊下式バスケットゴール」注2)という。)等の支柱が構造体と同様に剛であることを確認した場合、その周囲には6cm 以上のクリアランスを設ける。
・クリアランスは、天井面材だけでなく野縁や野縁受けに対しても設ける。
〈補足〉
・技術基準の仕様ルートでは、天井面の次の部分にクリアランス設置を求めている。
(1) 天井面の壁際
(2)地震時に天井面と一体に動かない設備等の周囲
※このほか、既述のとおり、段差や折れ曲がり部分にもクリアランスが必要となる。
・吊下式バスケットゴールは、天井とは別にRC躯体や小屋組鉄骨に取り付けられた設備であるため、天井面と一体的に動かない。
・RC 躯体や小屋組鉄骨から吊られている照明設備や空調設備について、天井面と一体に挙動しないものは天井面との間にクリアランスが必要となる。
また、別途、照明設備等には落下防止措置を行う(第2節参照)。
・天井埋込み式の照明設備について、天井面と一体的に挙動するものは天井面との間にクリアランスは不要である。
ただし、別途、落下防止措置は行う(第2節参照)。
・電動昇降式照明設備も、本体そのものが小屋組鉄骨から吊られている場合で、天井面と一体に挙動しないものについては、天井面との間のクリアランスは必要である。
また、別途、落下防止機構を備えた製品を用いる。注3)
・天井埋込み式や固定式のスピーカー等は照明設備と同様に対応する。
注1) 天井と壁等との間のクリアランスは6cm 必要だが、これは壁等が外力に対して十分に変形しにくい(剛である)前提であり、天井同士ではその前提が満たされないため、安全側で評価し、6cm+6cm=12cm とする。
注2) 吊下式バスケットゴールに類似する設備として、天井に設置された体操用のつり輪などがある。
注3)電動昇降装置(リーラー)をRC躯体や小屋組鉄骨に取り付けている場合のワイヤー貫通孔は昇降する懸垂物と同様に考える。