床の損傷状況を正確に把握し、その原因を解明することは高度な技術と経験を必要とします。
従って床に何らかの異常を発見した場合は、大事に至る前にできるだけ早く専門業者に相談してください。
損傷とその原因との関係で注意しなければならないことは、損傷の原因は損傷の発生した部位にあるとは限らないことです。
例えば、フローリングの損傷原因が実は地盤の沈下や亀裂にあり、これがフローリングの損傷となって発見される場合などがあります。
この場合、フローリングだけを補修しても原因は解消していないため、後日さらに大規模な形で損傷が再発する恐れがあります。
このような場合はフローリングの補修だけでなく、故障の原因となった地盤の補修を同時に行ない、場合によっては地盤に過大な荷重が加わらないように使用上の制限を設けるなどの対策を行なうことで、はじめて故障の再発を防ぐことができるのです。
以下に主な損傷原因例を説明します。
1.日常清掃の不履行
使用前・使用後の床面清掃を怠りますと、利用者はゴミやほこりの上で競技することになり、床面の劣化やすべりを促進してしまうことになります。
2.外部からの異物持込
土足での侵入は土や砂を持ち込み、床面を傷めます。
また、上履きを使用している場合でも、他の室からワックスを持ち込んでしまうことがあります。
3.不適正なメンテナンス方法によるもの
清掃時に床面に水を撒いた場合、フローリングの吸湿~乾燥の繰り返しによって反り・割れや床のあばれを発生させます。
4.ワックスによるもの
ワックスはポリウレタン樹脂塗料と比較して耐摩耗性が低いため、定期的にワックスを掛け直さないとすべりやすくなります。
また、軟らかいためにワックス内部に汚れが侵入し、黒ずみが発生したり靴のヒールマークがついたりするなど見た目も悪くなります。
なお、ポリウレタン樹脂再塗装時にはワックスを完全に除去する必要があります。
5.重量物の移動によるもの
移動式バスケットゴールなどの重量物の移動は、床に対して局所的に過大な負荷を与えます。事前の検討を怠り補強などの措置を行なっていない場合、床の損傷につながることもあります。特に器具庫の出入口部分は損傷しやすいので注意が必要です。
6.体育器具の不適切な取り扱いによるもの
バレーボール支柱などの体育器具を不注意によって床面に直置きした場合、床を傷つけることがあります。また、乱暴に移動すると引きずりなどによりフローリングに傷が付きます。
移動式バスケットゴールを折りたたむ時に、バスケットリングにぶら下がるなどによって車輪に1点荷重がかかった場合、床面が荷重に耐えきれず局所的に陥没する場合もあります。
7.ラインテープによるもの
ラインテープを乱暴にはがしますと、塗膜のはがれが生じることがあります。
適正なラインテープの選定・取り扱いが必要です。
8.過度のサンダー掛けによるもの
床の削り直しを行ない過ぎますとフローリングの表面層が薄くなり、ささくれや板割れが発生しやすくなります。床改修の検討が必要です。
9.塗膜の摩耗によるもの
塗膜は使用とともに摩耗し、すべり性能やフローリングの保護性能の低下につながります。
定期的な再塗装などの管理が重要です。