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屋内運動場等の天井等落下防止対策の必要性

(1)東日本大震災における被害
・平成23年3月に発生した東日本大震災では、多くの学校施設において、構造体のみならず天井材や照明器具、内・外装材の落下など非構造部材の被害が発生しました。
学校の校舎についても多数が被災しましたが、特に、天井高の高い屋内運動場等の天井材が全面的に落下した事象や部分的に落下した事象など落下被害が多くみられました。
これらの中には新耐震基準の施設あるいは構造体の損傷が軽微な場合でも大きな被害が生じたものがあり、天井材等の落下により生徒が負傷する人的被害や、学校施設が応急避難場所として使用できない事態も発生しました。
・また、鉄骨造の屋内運動場等では、新耐震基準の施設でも、鉄筋コンクリート造柱と鉄骨造屋根の接合部のコンクリート剥落やターンバックルブレースの早期破断等により避難場所として使用できない事態が発生しました。

(2)耐震対策の状況
・天井材や照明器具等の非構造部材の耐震対策について、平成24 年4月現在の公立小中学校施設における非構造部材の耐震対策実施率注)は約32%に留まるなど対策は著しく遅れています。
さらに、学校設置者が行う屋内運動場等の耐震点検(専門的な知識を要する項目)に着目すると、その実施率は、天井材は約33%、照明器具は約34%程度に留まり、点検そのものが著しく遅れており、学校設置者が非構造部材の耐震対策の必要性・緊急性を深く認識し早期に点検・対策を行うことが課題です。

注)平成24 年度 公立学校施設の耐震改修状況調査結果より。宮城県及び福島県の一部を除いた数値。

(3)国土交通省における技術基準の検討
・東日本大震災において、多数の建築物において天井が脱落し、かつてない規模で甚大な被害が生じたことを踏まえ、国土交通省では、地震時等における天井脱落への対策を強化することを趣旨とし、建築基準法施行令を改正するとともに、同政令に基づく告示を公布しました。
平成26 年4月には、天井に関する技術基準が施行され、建築物を建築する際には当該基準への適合が義務付けられることとなります。
・学校施設は、児童生徒等の学習・生活の場であるとともに、その大半が地域の応急避難場所となることも踏まえ、既存の学校施設においても、同基準が制定された趣旨等を踏まえた対策が望まれます。