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屋内運動場等の天井等総点検用マニュアル
【第1節「天井の耐震点検と対策の実施」を活用する上での留意点】

(1)活用方法
・「第1節 天井の耐震点検と対策の実施」は、建築基準法施行令に基づく「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件」(平成25年国土交通省告示第771号)(以下「技術基準」という。)の耐震性等を考慮した天井の仕様を定める方法(以下「仕様ルート」という。)を踏まえた耐震点検・対策の内容を示したものである。
・迅速かつ効率的に学校施設の天井等の耐震点検・対策を実施すべき観点から、本マニュアルでは、対策が必要なことが判明した時点で対策の検討に着手できるルートを設けており、各学校設置者においては本マニュアルを活用し、早急な対策を実施することが必要である。
・なお、「仕様ルート」を適用せず、天井の耐震性等を計算で検証する方法(以下「計算ルート」という。)を適用する場合は別途、専門家に相談し実施する必要があるが、前提として、天井面は一体として挙動することなどが求められており、それらの対策がなされていない場合には当然、「計算ルート」も適用出来ないことに留意する必要がある。
・また、技術基準は天井の吊り長さが概ね均一のものを対象としており、屋根形状と天井形状に違いが見られる場合は「仕様ルート」を適用できない可能性が高いため、この点にも注意が必要である。

(2)天井の落下防止対策の検討
・天井の落下防止対策に当たっては、①天井撤去、②天井の補強による耐震化、③天井の撤去及び再設置、④落下防止ネット等の設置といった手法が考えられるが、既存天井の耐震性の状況によっては、補強による改修工事が実質的に困難な場合があること、天井の再設置には相当のコストがかかることなどから、より確実な安全性を確保するための対策として本マニュアルでは「撤去を中心とした落下防止対策の検討」を促している。
・なお、天井撤去については、単に天井の撤去だけではなく、撤去前の天井により確保していた断熱・音響・空調等の各種環境条件についての対策も併せて行う必要がある。
・また、国土交通省の示す技術基準では、大地震(震度6強から7に達する程度)に対して天井が脱落しないことを直接確認することは、現在の技術水準からは限界があるため、中地震(震度5強程度)に対して天井が損傷しないことにより、中地震を超える一定の地震においても脱落の低減を図ることとしている。学校施設は児童生徒等の学習・生活の場であるとともに、その大半が地域の応急避難場所となることを踏まえると、技術基準に加え、更なる対策の強化を検討することも必要と考えられる。そのため、大規模空間を持つ施設の天井について、天井撤去以外の対策を検討する際には、その必要性も含め、十分かつ慎重に検討することが必要となる。
・なお、天井撤去以外の対策を検討する場合も撤去時の検討と同様、安全面での課題に加え、各種環境条件についても総合的に検討する必要がある。