〈実 施 者〉
専門家(建築士等の有資格者)※建築構造設計の知見・経験等を有する者
〈確認内容〉
鉄筋コンクリート造の柱梁の上に鉄骨小屋組が乗っている屋内運動場等:
・地震時に鉄骨屋根の定着部からコンクリートの破片が人のいる場所に落下する可能性があるかどうかを確認する。
・可能性がある場合は、図面により鉄骨屋根の定着部の状況を確認し、その対策状況を確認する(表付2(1))。
鉄骨屋根で天井を有する屋内運動場等:
・図面により屋根の構造部材の仕様を確認し、天井に大きな揺れをもたらすような損傷が発生する可能性が高くないことを確認する(表付2(2))。
〈確認結果〉
OK の場合:本確認を完了する。
実地診断の場合:目視確認・計測や必要に応じて鉄筋レーダー等の活用により建物の現状を確認する。
確認の結果「OK」とならなかった場合は、要対策と同様の措置をとる。
要対策の場合:構造計算等に基づいて次の対策を行う。
(1)RC 造の鉄骨屋根:コンクリート破片の落下防止対策
※ただし、早急な対策が困難な場合は、応急対策として、落下防止のための“朝顔”の設置や、人が落下物に近接しないよう措置するなどの対策を講じることが必要であり、専門家とよく相談の上で実施すること。
(2)鉄骨屋根:屋根構面の過大な変形防止対策
〈解説〉
・鉄筋コンクリート造の柱梁の上に鉄骨小屋組が乗っている場合、地震時に両者の接合部が損傷しコンクリート片が落下することがある。
・屋根面ブレースの接合部の耐力が構造計算により不足している(保有耐力接合でない)場合や伸び能力のないターンバックル注)が使用されている場合には、ブレースやブレース端部の接合部が破断し過大な変形が生じることがあり、天井が設置された屋内運動場等では地震時に天井落下の可能性が高まる。
〈補足〉
・この点検は次のいずれかの建物であることを前提とする。
(1)建物が新耐震基準で設計されている。
(2)耐震診断によって耐震性能があると判断された、又は必要な耐震補強が行われている。
・耐震診断が済んでいない新耐震基準以前の施設は、早急に耐震診断を実施する。第一次診断や耐震化優先度調査しか実施していない施設は、早期に第二次診断を完了する。
・耐震診断の結果、耐震性がないことが判明した施設については、速やかに耐震化を図るとともに、本手引により、関連する構造体の点検と対策も併せて実施する。