(3)緊急点検チェックリストの活用
〈対象施設〉被災した学校の吊り天井のある屋内運動場等
(※表3-2-1 は吊り天井のない屋内運動場等において活用することも有効)
〈使用が想定される場面と点検の実施者等〉表3-1 のとおり〈解説〉
・各項目にあてはまる現象などが見られる場合には、建物もしくは付属物などが危険又は注意を要する状態にあることが考えられるため、施設の使用については慎重に検討を行う必要がある。
・大地震時には、耐震性の状況によっては、建物が大破している可能性があるため、既存の応急危険度判定制度と同様、安全に点検を実施する観点から、まずは一見して明らかに危険と判断される状況がないかどうかを確認した上で、そのような状況でない場合は構造体等建物全体の状況について外観又は内観による調査を行い、吊り天井をはじめとする内観調査を実施していくという流れになる。・被災した学校の吊り天井のある屋内運動場等について、表3-2-1 により構造体等建物全体について外観又は内観から危険性を確認した上、表3-2-2 により吊り天井に関する危険性を確認する。
表3-2-1 により外観上明らかに危険な状態と判明した場合、内観調査を行う必要はない。
なお、吊り天井がない屋内運動場等においても、表3-2-1 により余震に備えた点検を実施することは有効である。
・表3-2-2 による点検の実施に際しては、本手引第2章の「天井等総点検用マニュアル」に基づく耐震点検の結果を確認し、落下防止対策の有無を把握する。
落下防止対策がなされていない場合は、無被害でない限り、専門家による調査により天井材の安全が確認できるまでの間は施設を使用しないことが望ましい。
仮に落下防止対策がなされている場合でも部分的なずれなどの被害が発生している場合は注意を要する状態と判断できる。
・なお、鉄筋コンクリートの建物に鉄骨の屋根がかけられている屋内運動場等の場合、吊り天井のないものであっても、屋根の取付部などからコンクリート片が落下する被害が発生することがある。
これらは、本震で被害が出ていなくても、大きな余震が起これば壊れかけていた箇所が壊れて落下することも考えられる。
天井が吊られている場合は、屋根の取付部が天井で覆われ床から見えない状態となっているが、同様に危険な状態が考えられる。
このため、専門家による調査により安全が確認されるまでは、落下の恐れのある壁沿いは立ち入り禁止とし近づかないようにすることが望ましい。
また、照明や吊り物などのずれについても、落下防止対策の再確認を行うことが必要である。