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体操活動における感染拡大予防ガイドライン
(日本体操協会)1

1.体操の特性
新型コロナウイルス感染症の予防法として重要視されていることは、飛沫感染防止対策として「3密を避ける」「咳エチケット」「身体的距離の確保」「マスクをして周りの人に飛沫を飛ばさないように配慮する」、接触感染防止対策として「こまめに手を洗う」「手指消毒」です。この項では、体操のすべての種別の特性と活動の段階的な利用計画として配慮すべき点を示します。

1)体操競技
男子6種目、女子4種目のそれぞれで自身に合わせた演技を構成し、やり直しできない競技会に向けて演技を磨きます。難しい技は繰り返し行う基礎スキルの上に成り立っていますので、その積み重ねがないと失敗や最悪の場合、怪我に結びつきます。そのため,競技で使う器械とともに、選手は常に身体を動かし、心技体のバランスを維持しておく必要があります。
体操競技の練習場は、鉄棒やつり輪を立てる高さと12m 四方の演技面を確保するスペースや5mの長さの平均台などを設置する広さが必要です。それらをすべて分散して常設されている状況であれば、1つの器械(種目)を1選手が使って実施されるため、「3密を避ける」「身体的距離の確保」「他者との接触を避ける」ことが可能です。一方、練習だけの用途で考えると、同じ場所に鉄棒と段違い平行棒を入れ替えて設置するなど、コンパクトな広さの練習場も存在しており、「3密を避ける」「身体的距離の確保」の困難な状況も存在します。
したがって、ある程度の高さと広さを持つ練習環境では、利用する人数や利用時間を調整することだけで、段階的な利用を計画することが可能です。一方、練習環境が狭い練習場の場合、それに加えた追加の対策をとる必要があります。

2)トランポリン
トランポリンを使い、異なる10跳躍技を演技に構成し、やり直しできない競技会に向けて演技を磨きます。難しい技は繰り返し行う基礎スキルの上に成り立っていますので、その積み重ねがないと失敗や最悪の場合、怪我に結びつきます。そのため,競技で使う器具とともに、選手は常に身体を動かし、心技体のバランスを維持しておく必要があります。
トランポリンの練習場は、トップレベルの選手にもなれば地上から8mほどの高さに到達するともいわれ、高さに余裕が必要です。また、トランポリン周囲に余裕がないと、壁にぶつかるなどの危険性が高まるため,ある程度の広さも必要です。トランポリン練習に適した高さと広さを持つ練習場であれば、トランポリン1台につき1選手が使っての練習になるため、「3密を避ける」「身体的距離の確保」「他者との接触を避ける」ことが可能です。したがって、利用する人数や利用時間を調整することで、段階的な利用を計画することが可能です。一方、練習環境が狭い練習場の場合、それに加えた追加の対策をとる必要があります。

3)新体操
新体操には個人競技と団体競技があり、それぞれ音楽に合わせて芸術性を表現する演技を構成し、やり直しできない競技会に向けて演技を磨きます。
難しい技は繰り返し行う基礎スキルの上に成り立っていますので、その積み重ねがないと失敗につながります。女子はいずれも新体操手具を利用し、男子は個人競技では手具を使いますが,団体競技では手具を使いません。とりわけ女子団体競技は、5名の選手が手具を投げて交換するなど、そして男子団体競技は6名の選手が同時にタンブリングを行うなど、グループとしてのコンビメーションが必要で、他の種別と異なる特徴を持っています。
新体操の練習場は、13m 四方のゆかフロアを中心として、その周囲にある程度の広さを確保して安全性を保ち、手具を投げ上げるため、ある程度の天井高が必要です。したがって個人競技は1面1名が使用するため「3密を避ける」「身体的距離の確保」「他者との接触を避る」ことができます。団体競技は1面に女子の場合 5 名、男子の場合6名が同時利用し、動きによっては接触を伴います。そのため、どちらも利用する人数や利用時間を調整することで、段階的な利用を計画することが可能ですが、団体競技の場合、それに加えた追加の対策をとる必要があります。

4)アクロ体操
2~4名以上のグループで音楽に合わせ、組体操的な動きやダンス、バレエの動きを組み合わせて演技を構成し、やり直しできない競技会に向けて演技を磨きます。難しい技は繰り返し行う基礎スキルの上に成り立っていますので、その積み重ねがないと失敗や最悪の場合、怪我に結びつきます。そのため、選手はグループに所属する他の選手とともに常に身体を動かし、心技体のバランスを維持しておく必要があります。アクロ体操の練習場は、世界トップレベルになると4人で行う男子グループにおいては4人がピラミッドを作ると最上段にいる選手の目線は7mにも及ぶと言われていますので、ある程度の高さが必要です。演技面は体操競技のゆかフロアと同じ12m四方の広さが要求され、転倒などを配慮した余裕のある広さが必要です。利用する人数や利用時間を調整することで、段階的な利用を計画することが可能ですが、他者との接触が伴うため、それに加えた追加の対策をとる必要があります。

5)一般体操
一般体操は、老若男女問わず、健康増進や人間関係の育成など自分の力量に合わせて実施する競技性のない体操です。誰でもどこでもできることから利用する人数や利用時間だけでなく、動く内容を含めて工夫すれば「3密を避ける」「身体的距離の確保」「他者との接触を避ける」ことが可能です。

6)エアロビック
競技に限定して説明すると、競技エアロビックは一人で行う個人競技(シングル)から複数で実施するグループ種目があり、定められた競技エリアで、音楽に合わせて定められた競技時間に演技を行うものです。エアロビック競技の練習場は、前述した体操競技、トランポリン、新体操のような広い空間が必要ではないため、利用する人数や利用時間に加え、練習方法の工夫など、追加の対策をとる必要があります。なお、競技性のないエアロビックもあり、これらを含め、本会の加盟団体である「公益社団法人日本エアロビック連盟」が管轄することになります。

7)パルクール
パルクールは様々な障害物(オブスタクルス)を、跳ぶ・飛ぶ・回る・越える・走る・掴む・振る・登る・降りる・捻るなどの動作を行いながら乗り越えていくアーバンスポーツです。
競技としては時間を競う「スピード」と時間内に技を表現する「フリースタイル」がありますが、それぞれ他の選手と触れることのない個人競技です。練習は障害物があればどこでもできますので、場所はもちろんのこと、利用する人数や利用時間を考慮すれば「3密を避ける」「身体的距離の確保」「他者との接触を避ける」ことが可能で、段階的な利用を計画することが可能です。