直接罰の新設
建築物等の解体工事等における石綿(アスベスト)の排出抑制を図るため、令和2年6月5日に「大気汚染防止法の一部を改正する法律」(令和2年法律第39号)が公布され、令和3年4月1日から順次施行されています。
令和4年4月1日からは、調査結果の報告義務が追加されています。
規定に違反すれば、アスベスト解体工事に関連する補助金を申請できないだけでなく、罰則の対象となります。
作業について
適切な隔離等をせずにアスベストの除去作業を行ったり、法律で定められた方法で作業を行っていない場合は、直接罰が科せられます。
除去対象
吹付材(レベル1)、断熱材・保温材・耐火被覆材(レベル2)、成形板(レベル3)
罰則
3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
作業基準に違反した際は、適合命令や作業の一時停止命令が出されます。
上記の命令に違反した際は6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
届け出について
特定粉じん排出等作業の実施の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、直接罰が科せられます。
罰則
3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
災害その他非常の事態の発生により特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合において、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処せられます。
違反した場合の責任
違反した場合の責任は、刑事責任と民事責任に分けられます。
刑事責任は、大気汚染防止法違反と労働安全衛生法違反の2種類があります。
民事責任は、施工業者と発注者が負うことになります。
対象
元請業者及び自主施工者だけでなく、下請負人についても作業基準の遵守義務の対象となります。
下請負人に適用される違反と罰則
除去等の方法の義務違反には、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
作業基準適合命令違反には、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、過失の場合は3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
最後に
工事に携わる者や現場周辺の住民がアスベストによる被害を受けないように、法律に基づいて工事を実施することが重要となります。
罰則があるからではなく、アスベストの健康被害を発生させないためにも、厳守する必要があると弊社でも考えております。